う蝕とは??? 予防方法は???

尾崎クリニック 歯科医師の加須屋です。

 

以前から、う蝕(虫歯)に関しては、う蝕そのものよりもどんな材料を用いて綺麗にしたかという修復技術に関心事項がむけられてきました。近年、う蝕の修復技術は格段に進歩しました。しかし、天然歯に勝る修復物は存在せず、う蝕を詰めたからといって健全な歯が戻ってくるわけではありません。これまでは、患者がどうしてう蝕になったのか検索せず、う蝕の再発を防ぐことを考えずに、う蝕を削り詰めるという伝統的な治療を行う流れがありました。多くの患者様も罹患してしまったう蝕の予防に関心はなく、長い間歯医者に行ってなければう蝕になるもの、歯医者は痛くなってから行くものという概念がありました。

最近は、ボディーメイク、いわゆる自分自身の容姿、健康を積極的に考え、体の健康保持を行う事への意識が高くなり、高額であっても健康になれるならと投資をする若者が増えてきました。このような健康への意識の高まりによって、う蝕は本来、罹患する必要性のない病気であり、避けられ予防できる病気であることが理解されてきました。若者の中には、ジム、美容院、歯科、内科に定期的に通い、体の外と中の両方から健康保持に努めることが流行してきています。

教育機関においては、治療学を中心に組み立てられていたカリキュラムに、予防歯科を設置し、う蝕の予防・管理を視野に入れた歯科医療の考えが導入されてきています。

健康志向が流行している現代において、歯科界でも、治療→予防へと徐々にシフトチェンジしてきており、定期的にメンテナンスに来られる患者様も増えています。

 

う蝕はひとつの原因で起こるものではなく、

  • 口腔内細菌(プラークコントロール、歯磨き)
  • 宿主(患者さん、歯の強さ)
  • 基質(糖分コントロール、食事の内容)
  • 時間(食べ方の工夫、唾液の分泌量)

すべての因子が重複して、う蝕に至るため、ひとつの因子ではう蝕になり得ないと言われています。

ミュータンスレンサ球菌という菌を主体とした、う蝕の発生メカニズムについてなるべく簡単に説明します。

ミュータンスレンサ球菌は歯の表面に形成される膜(ペリクル)に付着します。この膜は唾液により形成され、酸から歯を守ってくれる役割があります。しかし、正反対に細菌や汚れが付着しやすく、歯垢・歯石の原因にもなってしまいます。この歯垢には1mg当たり約10億個の細菌が生息していると言われています。細菌の塊である歯垢が、糖分を食べた後に、酸が産生され、この酸が歯を溶かし、う蝕となる。といった流れです。

 

ではう蝕の予防方法はどうすればいいでしょうか?

う蝕の原因因子である、①口腔内細菌②宿主③基質④時間のそれぞれに対する対処方法を上手に組み合わせることで、発生リスクを極力小さくすることができます。

宿主の耐性強化のためには、フッ素塗布、フッ素入りの歯磨剤などによる歯質の強化が必要だと考えます。歯に接着するう蝕原生細菌数を減らすために、歯ブラシ、デンタルフロス、歯間ブラシによるプラーク除去が最も重要ですが、洗口剤との併用もお勧めします。

糖質コントロールとしては、スクロースの摂取制限が重要です。それと伴い、代用甘味料へ移行していく必要性が高まっています。唾液の分泌を促すために、キシリトール入りのガムを噛んだり、食後、就寝前の口腔清掃をしっかり行なったり、食事の食べ方、特に間食回数には注意が必要です。間食回数とう蝕の発生が比例するという研究結果もあります。

1日の食事にスクロースや発酵性糖質を摂取することはやむを得ないことです。食後のブラッシング、唾液分泌量の増加を意識、飲み物は水かお茶、のようにう蝕にならない生活を少しでも考えていただけたらと思います。

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